組織論

組織開発のPDCAが機能しない理由と「ポジティブサイクル」実現への道

組織開発のPDCAが機能しない理由と「ポジティブサイクル」実現への道

こんにちは、relate株式会社ファウンダーの吾妻聡平です。

事業計画の達成、生産性の向上、社員エンゲージメントの強化。企業が掲げる目標は多岐にわたりますが、それらを実現するためには、組織そのものが健全に機能し、柔軟に変化に対応できるかが鍵となります。各社は組織を最適化しようと様々な施策を打ち出しますが、多くの場合、思うように成果が出ない、あるいは一時的な改善に留まってしまうという声が多く聞かれます。なぜ、組織開発の取り組みは「やったつもり」で終わってしまうのでしょうか。今回は、多くの企業が直面する組織開発の根本的な課題に焦点を当てていきます。なぜ従来のPDCAサイクルが組織改善の文脈では機能しにくいのか、その構造的な原因を掘り下げ、そしてどのようにすれば組織が自律的に成長し、持続的に成果を生み出す「ポジティブサイクル」を回せるのか、具体的なアプローチとともに考えていきたいと思います。

1. 組織開発の現状と「ポジティブサイクル」の必要性

多くの企業で、組織開発におけるPDCAサイクルが十分に機能していないのが現状です。問題があれば原因を特定し解決策を打つのが一般的ですが、組織開発の文脈ではそれが難しいとされています。場当たり的なスポット施策が多く、体系的な改善サイクルが回っていない企業がほとんどです。組織開発の究極的な目的は、会社のやりたいことを実現するための推進力となる組織を作ることです。どんなに優れた事業戦略があっても、組織が動かなければ達成は不可能です。そのためには、短期的な改善だけでなく、中長期的な視点での組織作りが不可欠です。私たちはこの改善の仕組みを「マネジメントのポジティブサイクル」と呼んでいます。

2. PDCAが機能しない原因:人事と現場の分断

では、なぜ多くの企業で組織開発のPDCA、あるいはポジティブサイクルが機能しないのでしょうか。その大きな原因は、「人事」と「現場」の間に存在する深い分断にあります。

まず、「誰がどうリードするのか」という体制が不明確なケースが多く見られます。人事が「これをやりたい」と施策を打ち出しても、現場が納得しなければ実行されません。人事はあくまでも採用とサーベイまでで、具体的な解決策は現場任せになることも少なくありません。問題の特定から解決策の実践までが複数のプレイヤーにまたがっているため、全体像が掴みにくく、なかなか前に進まないのです。現場は「人事が仕事をしてくれない」「余計な仕事ばかり増やしてくる」と感じ、人事は「現場が動いてくれない」と不満を持つ、といった悪循環に陥りがちです。

次に、組織に対する評価が十分にできていない点も挙げられます。多くの企業でエンゲージメントサーベイなどが実施されますが、その結果は「どこの組織がうまくいっていないか」という問題把握に留まることが多いです。現場は「改善しなさい」と指示されるものの、なぜうまくいっていないのか、どう解決すれば良いのかという具体的な原因や打ち手が示されないため、不満が募ります。サーベイを実施する意味自体が問われるような状況です。この分断と共通認識の欠如が、組織開発のポジティブサイクルが回らない根本的な原因なのです。

3. relateのアプローチ:ポジティブサイクルを回すマネジメント支援

この悪循環を断ち切り、ポジティブサイクルを回すためにはどうすれば良いのでしょうか。

最も重要なのは「個別対応の徹底」です。組織の問題は、多くの場合、人間関係や個々人の問題に起因します。そのため、「これをやれば皆が良くなる」といった共通の施策だけでは根本的な解決には至りません。現場のマネージャーは個々の部下をどう活かすかに迫られており、よりシビアな視点を持っています。人事と現場が連携し、個別の課題に向き合うことが不可欠です。

relateのマネジメント支援では、データに基づいた現場支援を行います。私たちはFFS理論に基づくストレス診断を定期的に実施し、どこに問題があるかを明確に把握します。そして、課題のある組織のマネージャーと直接すり合わせを行い、具体的なアクションプランの立案から実行までを伴走します。

このPDCAサイクルは、3ヶ月を基本として回していきます。サーベイを取り、アクションの結果を評価し、次の一手を打つことを繰り返すことで、マネージャーたちは自分たちの組織の問題を把握し、解決するコツを掴んでいきます。マネジメントに必要な原因分析や打ち手に関する方法論もインプットします。

時には、相談のあったマネージャー自身がボトルネックになっているケースもあります。私たちはFFSデータからマネジメントの適性もある程度把握できますが 、本人の意思を尊重し、継続的に伴走することで解決を目指します。

4. 組織変革がもたらす効果とrelateの価値

マネジメントのポジティブサイクルが回り始めると、企業には様々な変化が生まれます。

短期的な効果としては、マネージャーが具体的な解決策を見出せるようになることで、離職率の減少やメンタルダウンの抑制といった成果が顕著に現れます。また、「困っている部下」という曖昧な会話が、「個性的に〇〇がネックになっていて、今こういう状態にある」といった具体的な情報に基づいた会話に変わり、人についてのボキャブラリーが増えることで、日常のコミュニケーションが円滑になります。

中長期的な効果としては、人事が「人の見立てる力」を向上させ、現場の人材に関する情報が格段に増えます。これにより、単なる感覚や上長の推薦だけでなく、具体的な情報に基づいた採用・育成プラン、配置、サクセッションプランの策定が可能になります。結果として、経営層内の組織作りに関する会話の質も向上し、より戦略的でメリハリのある組織推進が生まれるのです。ただし、初めから自社だけでこのサイクルを回すのは非常に困難です。relateは外部のHRBPのような形で企業に深く入り込み、伴走することで、このポジティブサイクルを組織に定着させる支援をしています。人材開発会議などで情報共有の場を設け 、組織が自律的に成長する仕組みを構築していくことが重要です。

5. まとめ:自律的に成長する組織とは

多くの企業で機能不全に陥っている組織開発は、「マネジメントのポジティブサイクル」を回すことで劇的に改善されます。このサイクルは、課題のある部署を特定し、その原因を深掘りし、具体的な打ち手を現場と協働で実行していくものです。

採用に続く「育成」と「登用」のフェーズを強化し、一人ひとりの社員の可能性を最大限に引き出す。この地道で戦略的な取り組みこそが、持続的な企業成長の原動力となるのです。

◆お問い合わせ

貴社で組織開発のPDCAが機能していないと感じていませんか?「人事と現場の連携を強化したい」「マネジメントのポジティブサイクルを導入したい」といった課題をお持ちでしたら、ぜひrelate株式会社にご相談ください。貴社の組織変革を力強く支援します。

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