人事

データに基づく組織戦略を、企業の成長基盤にしていきたい ~「勘と経験」に頼らない人事を、FFS理論をもとに構築中

データに基づく組織戦略を、企業の成長基盤にしていきたい ~「勘と経験」に頼らない人事を、FFS理論をもとに構築中

お話を伺った方:子浦 央士 様(経営企画本部 人事戦略部長)

会社名:株式会社ユカリア

業種:医療・介護・福祉系

従業員数:140人

  • 導入範囲:全社導入
  • 導入対象人数:約140人
  • 導入時期:2020年~
導入前の課題
  • 「勘と経験」だけで進めない人事のあり方を検討していた
主な取り組み
  • 組織戦略のコアに起きたいと考え、部分導入から全社導入へと広げた
  • 新しい事業の創出をする際の戦略的な採用や配置に役立てる
導入効果
  • 層が特定されていて、効果も見えやすい、新入社員への導入から始めた
  • メンター制度には、育成効果が高まるように同質性の組み合わせを意識できた

【導入の背景】「勘と経験」だけでやり続けることに課題を覚える

―もともと、どういう課題意識をお持ちだったのでしょうか

子浦さん 私自身、前職では人材系の営業をしていて、当社に転職して未経験で人事をはじめました。本当に手探りから始めたのですが、しばらくして「このまま勘と経験を頼りに、進めていっていいのだろうか」と思いはじめたのです。採用の適性検査も1つだと思いますが、判断に使えるようなデータがないかと探し始めました。かなりいろいろな診断を、自分で受けてみましたよ。

―そのなかでFFS理論はどういう点がよかったのでしょう

子浦さん きっかけは知人からFFS理論の話を耳にしたことです。不思議なもので、同時期に2つの異なるルートで聞いたのです。「これは気になる」と思って紹介を頼み、セミナーに参加しました。そこで聞いた話が、私自身、ものすごく面白かったんですね。自分の個性についての説明がしっくりきましたし、どの因子の説明も納得できるものでした。

―ご自身はどういう因子でしたか

子浦さん 1番高い因子が保全性(E)で、次が凝縮性(A)、その次に弁別性(C)です。最初のセミナーでたくさん質問したのですが、「そういう質問をするのが、保全性と弁別性が高いあなたの個性が出ている」と言われて、「確かに」と納得しました。弁別性が高い、つまり論理的に理解したいタイプだからこそ、数値で示されるFFS理論が刺さったのだと思います。

―それがいつ頃でしょうか

子浦さん 4〜5年前ですね。ぜひ自社で活用したいと思い、まずはスモールスタート、部分的に始めました。最初に受検してもらったのは、自部署のメンバーと新卒社員たちです。どちらも、自己理解、相互理解に役立つということで、すごく反応がよかったです。特に新卒社員は入社後の研修において、チームでアウトプットを出す機会が多いため、相互理解を経た上でのチームビルティングにとても役立っているようです。

【期待する効果】組織戦略のコアにおくために、全社活用に拡大

―その後どのような使い方をしていったのでしょう

子浦さん 新卒社員に対しては、毎年使うようになりました。メンターを決める時にも使っています。最初は同質タイプをつける方が伸びるという話を聞いて、それを応用しました。

―今は全社員が受検されたとのことですが

子浦さん そうです。ごく最近になって、全社員に受検してもらいました。数年間使っているなかで、経営層の理解も徐々に深まりました。そこで、組織戦略のコアにおくような使い方に進化させたいと考えました

―組織戦略の今後に向けて、どのような問題意識がおありでしたか

子浦さん 当社は、確立したビジネスモデルをもとに成長してきた会社です。ビジネスモデルが強いと、特段の挑戦をしなくても安定的に収益が生まれます。そうした事業モデルゆえに、着実に事業推進できるような人材が、多くの割合を占めてきました。しかし今後は、新ビジネスの創出や領域の拡大が求められます。そこをリードできる人材を、戦略的に考えていきたいと思っていました。

―具体的にはどのようなことを考えているのでしょうか

子浦さん 0→1の新規開拓が得意な人と、ビジネスモデルに沿って着実に拡大していける人とは、やはり個性が異なります。革新的なビジネスを生み出すには、積極的で、強い意志を持って進んでいける人材が必要です。FFS理論で人の個性が可視化できたので、今後の人材ポートフォリオに使っていきたいと思っています。また、特に新規開拓が得意な人材を増やすための戦略的採用や、適材適所となるような配置という点でも活用していきます。

―組織戦略について、経営層の考え方はいかがですか

子浦さん 人の組み合わせでチームのパフォーマンスが変わるということには非常に同意していて、FFSデータによって精度があがるだろうと期待してくれています。もちろんデータですべてを決めたいということではなくて、判断の手がかりをきちんと持とうと。実は経営メンバーの一部も別のルートでFFS理論の話を聞くことがあったそうで、全社的な活用に向けた流れが加速しました。

―経営層の皆さんも受検されたのですね

子浦さん はい。役員の1人は先行導入期に受検してもらって、データを使った人事を早くから理解してくれていました。今回の全社導入とあわせて経営層も全員受検したわけですが、事業をリードするような積極性の強さが共通していました。今後経営チームが拡大していくなら、現経営層との補完関係を見たりするのにも使えるでしょうね。

【先行導入時の工夫】新入社員の成長を支援するために、同質タイプの組み合わせを意識

―部分的に活用してきた先行導入期に、何か工夫されたことはありますか

子浦さん 当社は経験者採用者が多く、その中には医療介護系の専門職もいます。前職の環境によっては1on1のようなコミュニケーションの経験がない人もいたことで、面談等の研修をするにしても経験の差からくる難しさを感じていました。そこでFFS理論の導入を、既存社員ではなく新入社員からにしたのです。まずは特定の層から始めて、効果を確認しながら広げようと考えていました。

―メンターとの組み合わせで使うというのも、ねらいと対象がわかりやすいですね

子浦さん メンターとメンティーの双方にアンケートをとったのですが、ポジティブな反応ばかりで、有意義に時間を使ってくれたようです。同質タイプで組み合わせたことの効果もあったでしょうね。

―導入の過程で印象的だったことはありますか

子浦さん 新卒社員同士で対立が起きたことがありました。拡散性が高いメンバーがリードしたものの、他のメンバーからは異端行動のように映ったようです。そんな状況下でFFS理論の解説をしたら、ものすごく腑に落ちたようです。
「個性が違うからこうなったのか」ということを肌身に感じたようで、そのあとの討議アウトプットが例年になくレベルの高いものになりました。異質性が補完しあった時の力を、あらためて実感できた気がします。ただし特に新卒社員の場合、異質性ある組み合わせほど、フォローのタイミングを間違えないようにしないといけないとも思いました。

【今後の展望】今後の事業成長にも、現場の活性化にも役立つように使っていく

―組織戦略のコアとして使っていく予定だと伺いましたが、直近ではどのような取り組みをしていきますか

子浦さん 全社員受検後、全社員に向けて、フィードバックとコミュニケーション研修の場を5〜6回にわけて実施しました。その時に、いろいろな活用方法も紹介したのですが、具体的な相談はまだあがってきていません。現場で使えるものにしていくのが、この次のステップだと考えています。そのために何をするのが効果的か、他社事例も聞きながら考えているところです。

―今後の展望をお聞かせください

子浦さん 事業のさらなる成長を進めるなかで、人員規模は拡大していく見込みです。データをもとにした組織戦略ができるような整備は、そうした組織拡大の基盤になります。人の採用・配置・育成をより適切に、有効な形で行えるようになっていきたいですね。経営の方向性にも、現場の活性化にも資するように、さらに取り組んでいきたいと思います。

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