
会社名:アジアクエスト株式会社
- 導入範囲:全社導入
- 導入対象人数:約300名
- 導入時期:2015年~
- 課題
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- 組織拡大期に必ず起こる摩擦・離職・パフォーマンス低下などの「成長痛」に対する事前予測・対応が不十分だった。
- トップのメッセージや方針を個性タイプの違う現場メンバーに行き届かせるのが難しかった。
- 「社員の個性を活かす」と掲げながらも、実際の配属・チーム編成・マネジメントが経験と勘に依存してしまっていた。
- 効果
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- 全社員の個性データを可視化することで、会社の成長時に起こりがちな摩擦・離職・パフォーマンス低下を事前に予測することで予防対応できるようになった。
- トップがメンバーの個性タイプごとに「刺さるかたち」でメッセージを発信することで届けやすくなった。結果として認識のズレや受け取り方のムラが減った。
- 新卒研修や中途1か月面談で個性データを活用し、特性に即したオンボーディングやフォローができるようになった。
【導入の経緯】すべての人の個性が活きる組織づくりに活用
―FFS理論を導入したのはいつ頃でしょうか
桃井さん 確か2015年です。2014年末頃に話を聞いて、導入を決めました。創業したのは2012年なので、まだごく初期の頃です。従業員数は30人に満たないくらいの規模でした。
―導入のきっかけは何ですか
桃井さん 創業時にいくつか決めたことがあったのですが、その1つが「すべての人の個性が活きるいきいきとできる組織をつくりたい」という思いでした。どうしたら実現できるだろうかと、本を読んだり人の話を聞いたりしていたものです。その中でFFS理論のことを知り、これはいいなと思いました。なんとなく感じていた個性の違いが、きちんと言語化、数値化されて示されていたからです。
―導入を決めた時のメンバーの反応はどうだったのでしょう

桃井さん スムーズに受け入れたと思いますよ。当社はエンジニアが多い集団で、論理的な理解を好む、弁別性が高いタイプが結構います。説明が明確なので、そういう人にとっても納得しやすい理論でした。その後は入社するタイミングで、全員受けています。
【活用の方法】FFS理論が日常会話で使われる共通言語に
―どういう使い方をされているのでしょうか
桃井さん まず、全員分のFFS因子は相互共有しています。1on1やチーム編成時にも参照しますが、「日常会話で普通に」というのが一番の使い方かもしれません。「あの人はこの因子が強くて」というだけでお互いわかるので、社内の共通言語になっています。採用した人には内定後に受けてもらい、新卒採用者は入社2日後に、経験者採用者は入社1か月後の面談時にフィードバックしています。
―入社した人はもれなくフィードバックを受けるのですね
桃井さん そうです。FFS理論の資格を持つ社員が2人いて、対応しています。新卒の場合は、自己理解・相互理解のツールとして、経験者採用の場合はフォローアップの意味合いもありますね。単に「調子はどう」と聞くより、「FFS理論からはこういう傾向があるが、実際はどうか」という聞き方ができるので、手厚いサポートになっているはずです。
―既存のメンバーに対してはいかがでしょうか

桃井さん 時間が経つとどうしても理解が薄れていくので、組織づくりを担うリーダー層やマネージャー層、部長層には、有資格者から定期的に講習をしています。有資格者2名は相談窓口にもなっていて、コミュニケーションの悩みも寄せられるようです。「FFS理論で説明するとこうだ」や「こういうタイプだからこうした環境下ではストレス反応が出やすい」といった具体的な解説ができるのがいいですね。
―FFS理論を知ったことで、ご自身としての変化はありましたか
桃井さん 私は拡散性と受容性が高く、弁別性の高い人とは異質なタイプです。FFS理論を知る前は、メッセージを発信しても、響く人と響かない人がいるなと思っていました。拡散性が高い人は勢いで伝えがちだと言われますが、まさにそれがあったのでしょう。論理的に理解したい弁別性の人には、伝わらなくて当然だったと今にして思います。今は、個性に合わせた伝え方をかなり意識するようになりました。
【導入の効果】組織成長における課題をあらかじめ予測できた
―創業する時から、組織づくりを重視していたのですか
桃井さん そうですね。私自身、当社が2回目の創業ということもあって、最初から個性を大事にした組織づくりをしようと考えていました。
桃井さん ゼロではないけれど、比較的クリアできましたね。前の創業経験から、次に来ることを予測できたのもありますし、FFS理論を使って個性や関係性を把握できていたのも役立ったと思っています。そもそも、個性が生きる組織づくりをしたかったので、そのために早め早めに動いたことも大きかったでしょう。
―「個性を扱う」ことが企業文化になっていることの強みを感じます

桃井さん 当社の根源には「どんな人も才能を持っていて、機会や組み合わせによってそれを輝かせられる」という考え方があります。何か問題があっても、組み合わせを変えれば変わるかもしれないし、チームにもう1人追加したら変わるかもしれない。そういう可能性を全員が考えられるのが重要です。FFS理論は、自己理解・相互理解に加えて関係性まで扱えるのが有益だと思っています。
―個性が生きる組織づくりをしていること自体、採用効果もありそうですね
桃井さん そういう考えの会社であり、一貫して取り組んでいるということは、結構響くようですね。一次面接から、その人の個性をかなりフィードバックしています。ほとんどの人がそこを喜んでくれるし、他社との差別化要因にもなっているはずです。
【今後の展開】違う個性の組み合わせを組織の力に変えていく
―社内で自ら、FFS理論の解説をされることもあるとのことですが
桃井さん 「週刊モモイ」や「AQ Times」という名の社内向けオンライン発信があって、そういうところで結構話題にしています。我々はエンゲージメントをコアバリューの1つに掲げており、FFS理論を使いこなすことはその実現にとって意味がある。その思いをいろいろな角度で伝えているつもりです。
―今後はどういう展望をお持ちですか

桃井さん 個性が生きる組織づくりをもっと強めていきたいですね。業務の特性上、組織図上のチームだけではなく、プロジェクトごとにチームがたくさん動いています。有資格者2名ですべてのチームを見ていくのは厳しいので、管理職の人たちが自組織をきちんと扱えるようにすることが、次の段階だと思っています。
―それが成長の原動力にもなるのでしょうね
桃井さん それぞれに持って生まれた才能や興味、価値観があるはずで、それを自由に出せる組織でありたいと思っています。自分は何を大事にしているかを発信でき、上司や周りもそれを応援できるような組織。自分とは違うタイプがいて、自分にはない力を持っているということがわかると、違いはリスペクトの対象になります。リスペクトしあえる関係性、感謝しあえる関係性がこれまでの成長期を支えてきたし、今後も大事だと思っています。