経営

FFS理論を組織施策の柱として、仕組みを整える ~事業拡大前の準備期間での導入

FFS理論を組織施策の柱として、仕組みを整える ~事業拡大前の準備期間での導入

お話を伺った方:佐藤 詳悟 様(代表取締役CEO)

会社名:株式会社FIREBUG

従業員数:50名

  • 導入範囲:全社導入
  • 導入対象人数:約50名
  • 導入時期:2020年~
導入前の課題
  • 組織の仕組みを整える時期に、柱になるものが欲しい
主な取り組み
  • 代表が自ら資格取得し、全社に導入の際には個々にフィードバック
  • 管理職会議でも話題にしながら、コミュニケーションのベースとして定着
  • 根拠ある説明を好むメンバーに対しても有効
導入効果
  • 全社的な共通言語となり、迷った時に戻れる場所の1つとなる
  • 人間関係をはじめとした組織の悩みを減らすことができる
  • 個性が把握できること自体が、経営からメンバーへの提供物

【導入の経緯】組織拡大の柱になるものを探していた

―主な事業領域を教えてください

佐藤さん:「企業のいろいろな課題をエンターテイメントで解決する」ことを目指して取り組んでいる会社です。2016年に創業しました。タレントの特性データベースを持ち、企業のやりたいこととマッチングして効果的な発信を手伝っていくのが主な取り組みです。広告を出したい場合のご相談と、経営・広報・人事課題等をご支援するのと、大きく2つの柱があります。

―FFS理論を知ったのはいつごろでしょうか

佐藤さん:創業して3、4年経ったころでしょうか。社員数は50人ほどになっていました。人から教えてもらったのですが、興味を持ったのは数万人規模の大手企業も使っているサービスだったからです。今後社員数を拡大していきたいと思っていたので、その点での事例は十分あるという印象を持ちました。

―今後の組織施策等を考えていた時期だったのでしょうか

佐藤さん:創業初期は事業先行でしたが、この頃に組織的な仕組みを整え始めました。1つ柱となるものを持つ方がよいだろうと思い、何かないかと探していたのです。他にもいくつか試したツールはあります。そこで思ったのは、ツールがなにであれ「自分たちで自走していけるものでないといけない」ということ。FFS理論は受検結果だけではなく、運用がイメージできたので使えそうだと思いました。

―50人規模になるまでの変遷は、いかがでしたか

佐藤さん:その段階で大きな組織課題があるわけではなかったのですが、この先を考えた時に、何も準備しておかないと破綻するかもしれないという考えはありました。共通言語のようなものがないと、組織運営が難しくなりそうだと。そこで人数拡大はいったん抑え、筋肉質な組織になることを目指した取り組みを2、3年進めてきました。業務や組織の仕組みを整えるところに注力したのです。

―今はどのようなフェーズなのでしょう

佐藤さん:3年ほどかけて、ようやく組織的な整備が整ってきました。FFS理論もその一部として定着してきたと思います。これで人を増やす基盤ができましたので、採用を増やしていく予定です。

【活用の方法】迷いが出た時に戻ってこられる場所を会社としてつくる

―最初に導入した時には、どのような流れだったのでしょうか

佐藤さん:まずは私自身がセミナーにいって、資格取得をしました。学んだうえで、やはりこれが有効だと思ったので、全社活用を決めたのです。全員に受検してもらって、そのあと1on1形式で全員にフィードバックしました。個性の違いを体験する「雪山サバイバル」のワークショップもやったと思います。FFS理論がどういうものか、何ができるのかを理解してもらうことを最初は意識しました。

―その後はどう使われていますか

佐藤さん:コミュニケーションのベースとして使っていて、管理職会議でもたまに話題にしています。お互いのデータは社内公開して見られるようにしており、3か月に1回のストレスチェックも使っています。限られた人数なので組織編成自体には使っていませんが、チームの組み合わせを見ながら強みの出し方をアドバイスすることもあります。

―もともと、理想とするチーム運営などはお考えにあったのでしょうか

佐藤さん:できるだけ管理職が手元でツールを活用し、課題に役立ててもらえたらと思っています。何か伝えたい時にFFS理論のような根拠を伝えることはすごく重要で、特に若い人ほどそうした説明を求めている感じがします。もちろん感覚でマネジメントしてもよいのですが、迷いが出た時に何かしら戻ってこられる場所を会社として持っておくのが、大事だと考えています。

―ちなみにご自身の個性については、どう受け止められましたか

佐藤さん:自分で思っていた姿と大きな差はありませんでした。ただ、改めて自分のことを客観的に見られたと感じましたね。個性の違いがあるのは薄々思っていましたが、それぞれの行動背景を明確に理解できた感覚です。

【活用の効果】FFS理論を使うことで組織の悩みを減らすことができる

―スタートアップ期の組織づくりにおいて、意識されていることはありますか

佐藤さん:組織が100人規模になるまでの期間は、やはり経営者の言動がカルチャーに大きく関わります。私の場合は、その言動の中に折々FFS理論も混ぜているという感じでしょうか。それによって全社的な共通言語になってきましたし、迷った時に戻れる場所の1つとしても認識されていると思います。

―課題を抱えたままにしないようにということですね

佐藤さん:職場で発生する課題は、突き詰めるといくつかの要因に帰結すると思っています。その1つが人間関係や人の個性だとすると、FFS理論を使うことでその部分の悩みを減らすことができる。できるだけそうやって、考えるべきことに集中できるようにしていきたいと思っています。

―管理職の余計な負担が下がりますね

佐藤さん:特にプレイングマネジャーの人は、多忙になりがちです。メンバーの個性が把握できることで、メンバーとの接し方のハードルが下がるはずだと思っています。

【今後の展開】基盤ができたところで、拡大路線へ

―今後の活用見込みなどはいかがでしょう

佐藤さん:今後は採用にも活用していけたらと考えています。一般的に、特に手を打たないと組織は自然と同質気味になりますからね。今後事業領域を拡大していく中で、異質人材の組み合わせも考えていきたいと思っています。

―事業の展望はいかがですか

佐藤さん:組織基盤と整えると同時に、事業基盤もかなりできてきました。私たちの強みは、消費者調査データ、タレント定量データ、タレント定性データのいずれも持っていることです。タレントごとに、認知率や好感度、支持する人の世代属性といったものは変わります。一方でタレントが熱を込めて発信すれば、その効果はより大きなものがあります。企業のニーズを聞いて、その発信に最も効果があるコンテンツやタレントを提案できるというビジネス形態が整ってきたので、ここからどんどん拡大していきます。

―同時に、経営課題に向けたサービスも進めるわけですね

佐藤さん:人事課題や広報課題も、エンタメ要素がないと若い人に響かなくなってきています。ここに対しても、我々はデータで示しつつタレントをマッチングさせていけますし、そこにあうコンテンツを制作できます。広告領域とのシナジーを出せますので、提供できるサービスを今まさに増やしているところです。

―経営戦略と組織戦略が合致して進んでいるように見えますが、手ごたえ感はいかがでしょうか

佐藤さん:ちょうどここ数年で、事業面も組織面も基盤を固めることができました。FFS理論を導入した時に、なんとなく思っていた関係性や個性が一瞬で表現されたと感じたのは覚えています。つまり、組織課題に対してある種の時間短縮できるようになったというのでしょうか。事業成長の方によりエネルギーを注げる状態になったと思っています。

―地固めをしたことで前に進みやすくなったということですね

佐藤さん:もう1つ経営者として思っていたのは、FFS理論を使うこと自体がメンバーに対する貢献の1つになるかもしれないということ。上司も部下も、お互いの個性がわからないことで摩擦が起こります。個性が把握できること自体を経営からの提供物にできれば、そこの悩ましさを1つ減らしてあげられるかもしれない。そうした点での有効性があり、今後も活用していこうと思っています。

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