経営

スタートアップの組織づくりにFFS理論を活用~成長を支えるための、強みを生かしたチームづくり 

スタートアップの組織づくりにFFS理論を活用~成長を支えるための、強みを生かしたチームづくり 

お話を伺った方:脇奈津子様(CEO 兼 CPO)

会社名:株式会社一坪茶園(米国展開ブランド:KYOKU)

業種:製造業

  • 導入範囲:全社導入
  • 導入時期:2021年~
導入前の課題
  • 個性を活かした組織構成で成果を出したい
主な取り組み
  • 「副業」で始めたスタートアップの組織運営に活用
  • 強みを生かした組織づくりを進めるための手段
導入効果
  • 期待行動を促すようなマネジメントが可能に
  • 得意な人が得意なことをやり、事業推進スピードを加速

【活用の背景】人を活かす理論に出会ったと感動 

―FFS理論を知ったきっかけは何でしたか 

脇さん 私自身は、大手飲料メーカーに勤務しつつ、その傍らでスタートアップを経営しています。FFS理論を知ったのは、7、8年前でしょうか。大手飲料メーカーでブランドマネジャーをしていた頃に、職場で導入されました。 

―最初の印象を教えてください 

脇さん 人を活かす理論に出会ったと思って、感動しました。やや仕事に苦戦しているメンバーがいたのですが、個性を活かせるようになってイキイキしたのを目の当たりにしたのです。 

―可視化されたことで、本人も周囲も個性を理解した、といったニュアンスでしょうか。  

脇さん その人はC(弁別性)が高くて、最初はマーケティングの仕事に就いていました。ただ、マーケティングは正解が決められるものではありません。お客様側に答えがあり、常に情報を更新しながらトライしないといけない。C因子の高い人にとっては曖昧な状況がストレスになると聞いて、個性のちがいを理解しました。その後部署異動されたのですが、データをもとに論理を組み立てる企画部門で、まさにC因子を活かして活躍しています。 

―自己理解という点ではいかがでしたでしょうか 

脇さん 自分自身の強みが言語化されたことにも感動しました。昔から、新しいことを進める突破力はあるけれども、簡単な精算処理のようなことは苦手。理解ある上司は多かったのですが、時には「なんでこんなこともできないのか」と周囲から見られることもあったのです。そうした特性が、全部因子で説明されました。 

―ちなみにどういう因子の並びなのでしょうか 

脇さん D(拡散性)が突出しています。でもDABの並びなので、自身の価値基準がはっきりしているA(凝縮性)と、外の意見を柔軟に受け止めるB(受容性)もあります。積極的に動くと同時に、自分の価値観に照らし合わせ、意思決定の判断材料さえ揃えれれば、きちんと意思決定するできるタイプですね。 

―事業を拡げていく、創っていくというところで強みを発揮しやすい個性ですね 

脇さん 事務作業が苦手なのがわかっているから、チームでは因子の特性を理解してもらったら上で、他に依頼します。その分の時間を使って、最大限自分にしかできないアウトプットで貢献したい。ただしその方法が理解されないこともあります。相互理解を深めるためには、やはり対話が必要だなと思っています。 

【活用の方法】スタートアップの創業期に導入 

―経営されているスタートアップの成り立ちを教えてください 

脇さん 「日本茶の未来を創りたい」という思いから始めた取り組みで、もともとは個人で始めた活動でした。そこに協力者が増え、出資者の後押しもあってアメリカでの事業展開を行っています。私も含め、皆が「副業」というスタイルです。 

―最初のチームはどのように集まったのですか 

脇さん 創業期のチームづくりは、志ドリブンでスタートしました。やはり一緒にやりたいと言ってくれる人が大事です。ただ、思考の違い、価値観の違いというのは徐々に出てきますよね。スタートアップの創業期に合うチーム編成を考えるきっかけになりました。 

―FFS理論はどのタイミングで導入されたのでしょう 

脇さん 創業後しばらくして、初期メンバー5人で受検しました。その後は、参画メンバーが増えるたびに受検してもらっています。私も資格を持っているので、個性を見たらだいたい判断できます。個性分布のマッピングを見てメンバーを組み合わせることもありますし、個性に合わせた業務アサインをしたり、マネジメントの仕方を調整しています。 

―組織運営をするうえで、かなりカギとなっていますね 

脇さん 今後拡大しても、FFS理論は使い続けます。職歴だけを見てチームに入っても、結局離脱してしまうケースを目にしますからね。個性を見ておかないと、そうしたアンマッチも起こり得ると思っています。 

―経営チームはどのような個性の組み合わせなのでしょうか 

脇さん 先ほど話した通り、私はDABという因子です。COO役割の人も私と傾向が似ていて、D(拡散性)とB(受容性)が高い。するとお互い理解が早いし、スピード感も同じです。一方、コ・ファウンダーの人はC(弁別性)が高いので、「何のためですか」「そもそもこうではないですか」といった問いを投げてきます。その3人の組み合わせのおかげで、論理的な整理が進みつつ、突破していけているんだと思っています。 

【導入の効果】個性を活かしたアサインメントでスピーディな成長を目指す 

―個性を見て対応の仕方を変えていらっしゃると伺いました 

脇さん そうですね。D(拡散性)因子が高い人にとって、「すぐやろう」はまさに「今すぐ」取り組むものです。でもE(保全性)因子が高いと、「段階的に」「着実に」取り組みます。Dの私からすると、「どうして今すぐ取り組まないのだろう」という印象でした。その疑問を解消してくれたのも、FFS理論です。個性による違いを理解してからは、「この個性なら納期を先に伝えておこう」といったアクションをとるようになりました。 

―因子の特性を読んで、先に手を打つわけですね 

脇さん 先に手を打つことで、「私からすると遅い」ということを減らせますし、人を責めなくなりました。実は以前は「真っ向から勝負」することが多く、時には衝突もありました。相手の個性に合わせたふるまいをすることで、余計な摩擦を起こさずに進みやすくなりましたね。 

―事業を進めるうえで、どのような個性の生かし方をされていますか 

脇さん たとえばアメリカでの事業展開を任せている人は、E(保全性)が高い。つまり、道筋が見えると動きやすいタイプです。でも最初のフェーズでは何もやり方が決まっていません。そこで、私が飛び込み営業をして型をつくり、それに沿って営業活動を少しずつ進めてもらうようにしました。開拓が得意なD(拡散性)タイプの私が道をつくり、拡大するところをE(保全性)タイプの人に実行を委ねる。その方が本人も取り組みやすいし、成果も出やすいと思っています。まだまだ、やり始めたばかりなのですが。 

―組織運営の面ではいかがでしょうか 

脇さん 日常的なコミュニケーションでの配慮は大事だと思っています。たとえばB(受容性)が高い人は、相手に求められることがうれしい個性ですよね。お願いされることをよしとしてくれるし、それをきっちりやってくれる。やってくれたことに対する「ありがとう」はきちんと伝えます。「演じる」わけではないですが、各個性に合わせた反応は結構意識した言動をしています。 

【活用の可能性】個性が言語化されることで、生きやすくなる 

―お話を聞いていると、ご自身の個性が言語化されたことで「生きやすくなった」という印象を受けます 

脇さん まさにそうです。昔から「変わっているよね」と言われがちだったのですが、何でそうなのかが言語化できました。ただ、「変わっている」というのはある個性から見た時の話ですよね。思い返すと、親はずっと私を肯定してくれました。人と比較しないし、私の言うことを受け止めてくれていたなと思います。 

―FFSは職場に限らず使える理論ですよね 

脇さん 子育てでも使えますし、プライベートな人間関係にも使えますね。子どもの言動を「どうして、こうなのか」と否定してしまうのではなく、その特性を理解してあげられるとよいし、親自身の個性を理解するためにも使えます。強みを生かせず悩むような人がいたら、ぜひこうした理論を使ってよい変化が起こればよいなと思っています。 

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