組織論

「スーパーマン」を追いかけるより、“スーパーチーム”を育てよう

FFS理論で実現する組織改善と実行力アップ

「FFS理論を活用した組織改善では、スーパーマン級の人材を探すより“スーパーチーム”を作る発想がカギ。異質補完の考え方で実行力を強化し、現場の生産性を底上げする方法を解説します。」
こんにちは、relate株式会社ファウンダーの吾妻聡平です。

日々いろいろな企業様のお話を伺う中で、「うちには優秀な人材がいない」「スーパーマンが現れれば一気に変われるのに」という悩みを耳にすることが本当に多いと感じています。けれど、実際のところは──そう簡単にスーパーマンが見つかるわけでもなければ、もし奇跡的に見つかったとしても、長続きするかは別問題です。

私がFFS理論を使った組織改善コンサルティングで強調しているのは、「たった一人の天才に頼るのではなく、既存のメンバーを最大限に生かして“スーパーチーム”を育てていくほうが、長期的に見てもはるかにパフォーマンスが向上する」という考え方。
本記事では、私自身が現場で感じているスーパーチームを作るメリット、そしてFFS理論を活用した具体的なアプローチについてご紹介します。

1.“スーパーマン信仰”が抱えるリスク

一人の天才だけでは組織全体を動かせない

企業が新しい事業を立ち上げたり、大きな変革を求められたりすると、どうしても「超優秀な個人」を迎え入れれば何とかなると考えがちです。たしかに、頭一つ抜けた能力を持つ人がいれば、周囲をぐいぐい引っ張ってくれる面はあるでしょう。

しかし、大きな組織になればなるほど、一人の力だけではまかなえない領域が広がります。採用の際に高いコストをかけて、ようやく天才をヘッドハントできたとしても、

  • 組織文化が合わず、あっという間に辞めてしまう
  • 周囲が「どうせあの人がやるでしょ」と受け身になり、生産性を高められない
  • 結果が思うように出ないと経営層が過度に不満を募らせる

といったリスクが浮上してしまうのです。

スーパースター頼みで会社が揺らぐ事態も

スーパースター一人に頼りきった組織は、もしその人がいなくなったら「次どうする?」という状態に陥りがちです。せっかく来てもらった“英雄”がどこかへ去ってしまえば、ただただ痛手が残るだけ。そんな悲しい話を、私は少なからず耳にしてきました。

2.FFS理論とは?「個」より「関係性」を重視する理由

組織課題は“個人”よりも“関係性”に現れる

そこで活用したいのがFFS理論(FiveFactors&Stress)というフレームワークです。簡単に言うと、人を「A.凝縮性」「B.受容性」「C.弁別性」「D.拡散性」「E.保全性」の5因子に分けて個性を掘り下げ、「なぜこの人はそういう行動をとるのか」を納得感ある形で説明します。

ただし、FFS理論の真骨頂は「個人のスコアを分析して終わり」ではありません。むしろ、組織を「関係性」で見るのが本質的なアプローチです。
例えば「Xさんは仕事が遅い」という場合、Xさん個人が原因なのか、それとも「Xさんの上司が曖昧な指示しか出していないから遅くなる」のかによって対策は全く変わってきますよね。

五因子を使った理解が「なぜあの人は動かないのか」を解消する

  • A.凝縮性:使命感を持って決断する。「独り善がりな人」に映ることも。
  • B.受容性:面倒見よくお世話する。「お節介な人」に映ることも。
  • C.弁別性:白黒はっきりさせて合理的に判断する。「ドライで冷たい人」に映ることも。
  • D.拡散性:手段に囚われず自在に進める。「ちゃぶ台返しする人」に映ることも。
  • E.保全性:見通しを立てて着実に進める。「抜本的に変えようとしない人」に映ることも。

こういった因子が、人の思考行動パターンを大きく左右します。相互理解が不足している組織では「なんであいつはああなんだ?」と衝突しがちですが、FFS理論で一度可視化すると、「なるほど、保全性の高い人はそう感じるのか」など、摩擦が減って“補完関係”を築きやすくなるのです。

3.同質vs.異質補完:組織が伸びるかどうかを分けるポイント

同じ個性ばかり集まると、短期的には楽でも変化に弱い

たとえば、よくあるパターンが「保全性が高い人材ばかりで組織が固まっている」というケースです。特に企業が安定成長期に入ると、着実な積み上げが得意な保全性人材に同質化していく傾向があります。そのような会社は、クオリティ管理や安定稼働には強いかもしれません。
しかし、大胆なチャレンジやイノベーションが求められた瞬間、新しいアイデアやリスクテイクに対して腰が重くなりがちです。「うちは動きが遅いんだよね……」と嘆く経営者の裏には、往々にして同質化の問題があります。

多様性を活かせないと、異質な人材を入れても失敗する

「ならば異質な個性をどんどん採用しよう」と考えるのも一案ですが、ただ多様化すればいいわけではありません。拡散性の人と保全性の人、凝縮性の人と受容性の人など、お互いが何を得意とし、どこですれ違いやすいのかを理解していなければ、衝突ばかり増えてしまうでしょう。

“異質補完”が生み出すスーパーチーム

私は「異質こそ力」とよく言っていますが、そこには前提があります。それは、異質なメンバー同士が“お互いを補完する形”で組めるよう、関係性をデザインすること。
FFS理論では、この「異質補完」が強力なチームを作るカギだと考えます。拡散性の人がまずアイデアを打ち出し、保全性の人がそれを仕組みに落とし込むイメージ。お互いに「なんでそんな動き方するの?」ではなく、「君はそういうアプローチが得意なのね」と自然に役割分担できるのが理想です。

4.実例:「厳しすぎるリーダー」が頼れる上司に変わった話

実際、私がコンサルで関わった企業の中にも「リーダーが厳しすぎる。パワハラ寸前では?」と言われていた人がいました。曰く、「人前で厳しく追及される」「正論ばかり押し通され、現実上の懸念を聞いてくれない」等々。あくまで部下の主観ですが、部下がリーダーに対して萎縮していることは確かでした。
ところが、リーダーのFFSデータを見てみると、凝縮性が高く、責任感の強さが誤解に繋がりやすいタイプだということが判明。本人は部下を責めている意図は全くなく、「ミッション実現のためになすべきことを主張し合うのは当たり前」「わざわざ言わなくても、そのことは部下達も理解してくれている」と思っていたのです。
一方で部下の多くは受容性と保全性が高く、「和」を重んじつつ着実に進めようとする個性。理解不能な凝縮性リーダーの言動に、「怒っているんじゃないか?」「自分のことを嫌っているのでは?」と誤解をしていました。そこで個性の違いを言語化し、リーダーには「結果は求めつつも、部下の『進め方の不安』を一緒に解消すること」を意識してもらい、部下には「リーダーは決して個人を責めておらず、ミッション実現のための議論がしたい意図である」ことを説明しました。
結果、半年も経たないうちにチームの雰囲気が激変。「あの上司は頼れるし、決めてくれるからありがたい」と周囲から評価されるようになったのです。もはや“パワハラ上司”などとは呼ばれず、むしろ「困った際の駆け込み先」へとイメージがガラリと変わりました。

5.スーパーチームを作るための3つのステップ

1.自分の特性と他者の特性をしっかりと「見える化」する

まずはFFS理論を使って、メンバー全員の五因子を把握します。名前のとおり、凝縮・受容・弁別・拡散・保全という5つの軸のバランスを測定し、1人ひとりの強み・弱みを丁寧に言語化するのです。
重要なのは、「私は拡散性が高いからこういうときに動きやすい」「上司は弁別が強いから根拠を明確にしないと納得してくれないかも」など、日常のコミュニケーションに落とし込むこと。結果を出しても棚にしまい込んでしまったら意味がありません。

2.上司・マネージャーから率先してFFS理論を導入

次に、現場を動かすキーパーソンであるマネージャー層がこの理論をしっかり使いこなすようにします。結局、「上が変わらないと下は変わらない」という組織も多い。

  • マネージャーが部下との1on1で「あなたは保全性が高いから、プロセスが曖昧な指示だとストレスだよね。そこは気をつけるよ」と声をかける
  • プロジェクト会議で「うちは拡散の人が多いから、広がりはあるけど着地しづらい。保全の人の意見を意図的に取り入れよう」と発言する

こうした行動を率先して行うだけで、チーム全体が補完し合う関係づくりへ自然と意識を向けるようになるのです。

3.“異質補完”を意図したチーム編成

最後のステップとして、部署やプロジェクトのメンバー構成そのものを見直します。例えば、新規事業を担当するチームには拡散性のメンバーを中心に据えつつ、実現可能性を検証する保全性の人を1〜2人加えて議論をまとめてもらう──といった具合。
既存事業を着実に伸ばす部署なら、保全性の人を多めに配置し、そこに拡散性の人が少数入ることで変化を入れるなど、ミッションと個性をうまく組み合わせるのがコツです。

6.まとめ:一人の天才より、異質を補い合うチームの可能性

「とにかく圧倒的な“スーパースター”さえいれば組織は変わる」──そう信じているうちは、なかなか長期的な結果は出ません。私が現場で見てきた限り、会社を本気で変えるのは“スーパーチーム”が生まれたときです。

  • 同質化が進んだ組織はマンネリに陥りがち
  • 異質を無計画に入れただけでは衝突が増えてしまう
  • FFS理論を活用すれば“異質補完”の形で個性を組み合わせられ、飛躍的な実行力アップが期待できる

◆お問い合わせ

「FFS理論でうちの組織を改善したい」「チームビルディングの具体的な方法を教えてほしい」といったご要望は、relate株式会社までお気軽にご連絡ください。あなたの組織にぴったりの“スーパーチーム”づくりをサポートいたします。

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