「ダメ出しされても納得できる」組織をつくる
こんにちは、relate(リレート)株式会社ファウンダーの吾妻聡平です。
会社の成長は、メンバー1人ひとりの個性に合わせた組織を編成していくことから始まる。その編成は、個人と個人の「関係性」に軸に置くべきだ。というのが、我々relateが提供している「Employee Relationship Management(ERM)」の考え方です。
・組織の成長は、その成員である個人の成長にかかっている。
・個人の成長には、自省(自らを省みる)の機会が必要。
・自らを省みるためには、異質な他者と交わることが必須。
前回、こんなお話をしました。
「異質への承認」をインストール
つまり我々relateがERMで目指すのは「自分とは異質の人」と関わることができる組織作り、ということになります。そして異質、同質を見分けるためのツールとして、FFS理論(解説は「日経ビジネス電子版」記事)があるわけです。
自分と異なる考え方、モチベーション、強み弱みを持つ人と働くことを通して、自らを省み、自分の強み、弱みを認め(自己承認)、そして異質な人を「こういう考え方もアリだな、自分にないところを補完してくれるな」と承認する。
これを「異質への承認」と呼びましょう。
「異質への承認」がインストールされた個人が増えていくと、組織はどんどん活気づきます。他者を認め、自分にも自信を持っているので、発言に余分な斟酌がなくなり、アイデアを自分からどんどん出し、行動にためらいが消え、問題解決に突き進むようになるからです。
お互いに「何を言っても誰もが建設的に受けとめてくれる」「ダメ出しされても納得できる」ような環境にいれば、自ずと過去に例のないアイデアでも口にしやすくなるし、率先して「それ、自分がやります」と言いたくなるはずです。そして、異質な人たちがそれぞれの強みを競い、弱みを補い合う「異質補完」の理想的な組織が形作られていく――。
自分らしさを発揮し、新しい発想を
以下、関係性を軸とし「異質への承認」が行き渡った組織が手に入れるものを箇条書きにしてみました。
1:「自分らしさ」を発揮できる、真の意味での心理的安全性
「相手の個性を認める」経験をした社員が増えていくことで、自身の個性を隠さずに発揮できる環境が生まれます。仕事への高い基準を維持しつつも、個性を尊重することで、社員は「思い切りさらけ出してもいいんだ」と感じます。健全な議論のベースとなる、真の意味(※)での心理的安全性が確保されます。
※どうも日本では「心理的安全性=相手の言うことを否定しない、馴れ合い」と誤解されがちですので、老婆心ながら、ERMが提供するそれとは違うことを指摘しておきます。
2:異質な個性との対話と葛藤を通した新しい発想
自分の強みや弱みを内省し、自己理解を深めるために不可欠な、異質な他者との対話や共同作業が行われ、そこでの対立・葛藤を通して新しいアイデアや成長のきっかけが手に入ります。例えば、FFSでいう「拡散(発想が飛躍)」と「保全(発想が積み上げ)」のタイプは、お互いに「ストレッサー」となり得ますが、それを乗り越えることで自身にはない考え方を理解し、相手の発想の利点に気付くことができます。
3:自然に協力し、失敗からも学びとる企業文化とマネージャーの育成
社員が失敗を恐れて行動しない傾向がある中で、メンバーがお互いの強みを評価している組織は、メンバーを本当に傷つける発言や態度を避けるようになります。相手も自分を評価してくれているからです。失敗を自省による学びの機会として許容し、成長と奮起を促すことで、社員は自分自身の強みや弱みを理解し、成長への意欲を高めます。
このような組織の関係性をリードするのはマネージャーですが、自身も、個性の異なる部下を育てる過程で自身のマネジメント能力を向上させ、成長を実感できます。
小さな改革で終わるか、企業全体を変えるか
実は我々は当初、「人事制度の中に、人の個性を理解する手掛かりになるFFSを入れることで、異質への承認を促し、そこから関係性を軸にした組織を創り出せる」と考えていました。しかしそれでは企業の変革にはあまりに遠回りだと気付いたのです。
もちろん社員の個性を理解するためにFFSの導入は必須なのですが、それだけでは「へえ、あの人はこんな個性なのか」と性格診断的に面白がったり、チームや部署レベルの、「小さな」改革に終わってしまう可能性が高かったのでした。
FFSは社員の個性を診断できるけれど、それはERMの目的ではありません。ERMが目指す「人間の個性をベースに、関係性を軸に置いて組織をつくっていく」ためのツールがFFSなのです。
もう少し具体的に言えば、前の回で申し上げたように、
「社員一人ひとりが持っているモチベーションの方向性に合わせて、働きやすい組織をつくる。さまざまな形のブロックが「はまる」ところを見つけながら組織をつくっていく=仕事のミッションに合わせてそれに向いたメンバーを見つける=関係性を軸にした組織をつくる」
ことがERMの目的で、「ブロックの形」を知るためにFFSが用いられる、ということです。
「まず組織図」から離れる難しさ
これを行い、「異質への承認」をインストールした社員が増えていくことで組織が活性化し、生産性が上がります。
ただし、ERMで組織を変えるにはひとつ重要な条件があります。
経営者が、このERMの目的を腹落ちし、社内に強く推してくれることです。
もちろんあらゆるプロジェクトがそういう面を持っていますが、経営者の方が「組織図をつくってそこに人を放り込むのではなく、仕事に合わせて適切な個性を持つ人を配置するのだ」と考えるのは、やはり難しいようです。特に、同質の組織の中で、あまりよくない意味での「関係性」によって出世の階段を順調に上ってきた方には、ERMは「はみ出し者を優遇し、和を乱して対立を生む、自分の信条に反する組織論」と映ることもあり、理解を頂けないこともよくあります。
逆に、経営者ご自身が「異質への承認」と、それによる成長の体験を持っている方の場合は、納得して頂けるのが早いですし、しっかりと支援をいただけることも多く、成果もどんどん出てきます。
経営者が「異質への承認を全社に行き渡らせる」と、はっきりと意思・目的を示せば、ERM導入によるリターンは、桁違いに早く、大きくなります。
「誰と組み合わせると伸びるか」まで提案
最初のご説明なので概念的な話が多くなってしまいましたが、ERMが提供するのは極めて実践的な提案です。
従業員へのサーベイで現状を把握するところまでは多くの会社で行われているものの、データを集めてそこで事実上終わり、になっている例を非常に多く目にします。我々はFFSによるデータを踏まえて、現場のマネージャーの支援、例えば「あのマネージャーは現場で苦戦しているが、サポートに誰を付ければ彼のパフォーマンスが上がるか」といった、組織改善を具体的に実行するための方法を提供します。
採用、育成、配置、サクセッションプラン(後継者選び)といった戦略人事の領域にも、ERMは力を発揮します。新規事業の発案やリーダーシップを取れる人材を見つけ出し、長期的な視点で「異質への承認」の機会を与えて育成し、人材プールを構築・管理することで、企業の将来的な成長と競争優位性を確保します。
同質な人材ばかりではなく、多様な個性が活躍できる環境を整備することが、企業の縮小再生産を防ぎます。特に、次世代リーダーの育成においてはこの経験は必須と考えます。
ERMのメリットはもちろん経営層、リーダーだけではなく、組織の全員に及びます。自主的に動き、お互いに補い合う人々の集まりに変わっていくからです。居心地がいいだけではなく、生産性も高くなりますから、業績、給与にもいい影響が出ますし、個人にとっても、自分の価値を感じ、能力を伸ばせ、他者からも評価される生きがいを感じられる場所になっていきます。
まずは経営者ご自身から体験を
ERMの導入は、具体的には「自己理解ワークショップ」「部下マネジメントワークショップ」という形から入っていくことが多いと思います。いずれも、自分の強み弱みを内省するところから始まります。これは、経営層、リーダーの方に「自省」をしていただく機会となります。
恐らく、思ってもみなかったご自身の一面が理解できたり、あるいは経営チームや同僚との間に感じていた違和感、疑問が、最初のセッションで氷解していくはずです。それをきっかけに、「組織全体を、関係性を軸としたものにしたい」と思って頂けたらと思います。
我々relateは、「個人と個人の関係の質が組織を強くする」と信じています。その重要性とメリットを感じていただける情報を、引き続きここで発信していきます。
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